◆◆◆━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
【みんなのセキュリティコラム(Grafsec・SPREAD共同コラム)】
2022年 2月 9日配信
『「つながりキャンプ」 ~出会い、つながること~』
NPO法人浜松子どもとメディアリテラシー研究所
理事長 長澤 弘子 様
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━◆◆◆
私たち「メリ研(浜松子どもとメディアリテラシー研究所)」は、
子どもたちのよりよいメディア環境をつくっていくために、研修・
講座事業や普及啓発事業などを通じて、メディア環境に関する子
どもや大人の学びを支援するとともに、学びを通じて市民の知恵
を集め、研究、提言していくことを目的に活動しています。
さて、静岡県教育委員会では令和元年度よりネット依存対策推進
事業を実施しており、私も委員として参加しています。そのメイ
ン事業である自然体験回復プログラム「つながりキャンプ」につ
いて、少しだけご紹介します。
「つながりキャンプ」は、インターネットの利用を自分でコント
ロールする力が身に付くことを目的に、体験活動やカウンセリン
グを取り入れ、大学生サポーターとともに行うキャンプです。事
業2年目の昨年度、対象は小中学生、新型コロナウイルス感染症拡
大の中、焼津青少年の家を会場に実施しました。
一泊二日のキャンプでは、マスクや換気や消毒など様々な感染症
対策を施し、大学生やスタッフはもちろん小中学生も細々と神経
を使いながら、カヌーやサイクリングなど全日程を楽しく有意義
に送ることができました。子どもたちは二日間、ネット環境から
離れ、同世代や大学生やスタッフの大人たちと寝起きを共にしま
す。『密』を避け『ソーシャルディスタンス』を保ち、それでも
程よい距離感を図りながら様々な体験をする中で、お互いに良い
関係を築くことができたのは参加者全員が「みんなで一緒に楽し
み喜びたい」という気持ちがあったからこそだと思います。キャ
ンプという限られた場でしたが、他者と出会い、行動を共にし、
言葉や気持ちをやり取りして共感や理解が生まれ、自分との違い
に気付き、お互いを認め合いつながることができました。最終日、
彼らの変化した様子を見て、きっと「新しい自分」にも出会えた
んだな、と大変うれしく感じました。
コロナ禍の中、社会全体が平穏な日常を奪われ、すべての人々が
鬱々とした空気の中で息苦しい毎日を送っています。昨春には学
校休業が実施され、子どもたちも外出自粛など人との接触を避け
る日常を余儀なくされました。自宅にこもり友達とも会えない状
況で、動画やゲームに触れる時間の増大が懸念されている中、講
座で訪れた学校では、「オンラインゲームのボイスチャットで久
しぶりに友達に会えて嬉しかった」という小学生の声を聴きまし
た。少しの不安と戸惑いを感じた一方、たとえボイスチャットで
も「友達とのつながり」を感じたいという子どもたちの気持ちは、
理解し共感もしました。
どんな社会状況、環境の中でも、私たちはみんな「出会い」や
「つながり」を求めています。ネット依存の背景にもなりうる
「孤立」や「孤独」を生まないためにも、「つながりキャンプ」
のような「出会いつながる場」の存在は、子どもたちにとって、
また私たち大人にとっても必要で貴重なものだと感じたキャンプ
でした。
~参考~
令和2年度「つながりキャンプ~ネットをちょっと一休み
新しい自分を探しに~」報告書
https://www.pref.shizuoka.jp/kyouiku/kk-080/tsunagaricamp.html
【執筆者(長澤 弘子 様)プロフィール】
NPO法人 浜松子どもとメディアリテラシー研究所 理事長
浜松市総合計画や市民協働推進条例の策定委員、静岡県総合計画
審議会評価部会委員を歴任。
現在、静岡県ネット安全・安心協議会副委員長、静岡県ネット依存
対策推進事業企画運営会議委員長、ふじのくに学校教育情報化推進
計画策定委員会委員、静岡県公安委員、静岡県行政経営推進委員会
委員、浜松市民生児童委員。
NPO法人浜松子どもとメディアリテラシー研究所
https://npo-meriken.jimdofree.com/
NPO法人子どもとメディアリテラシー研究所、通称「メリ研」は、
様々な子育て支援グループが集まった市民団体で、2004年に子ど
も達のより良いメディア環境をつくっていくための活動「ケータ
イ部会」を開始。
以来、様々な研修会やフォーラムを展開した結果、メディアや自
分がおかれている状況を客観的に捉え、自ら気づき、考え、行動
するきっかけとなる場の存在が有効であり、更に普及させていく
事も重要であると感じ、2007年8月にNPO法人として新たにスター
トした。
現在、研修・講座事業や普及啓発事業などを通じて、メディア環
境に関する子どもや大人の学びを支援すると共に、学びを通じて
市民の知恵を集め、研究、提言していく事を目的に活動している。
業績として、文部科学省や静岡県、浜松市、磐田市の委託事業な
ど、静岡県内外で小・中・高・特別支援学校・専門学校・大学の
児童生徒、保護者、教職員、保育士、健全育成会、学童保育指導
員、保護司、保育園・幼稚園・子育て広場、警察ボランティア、
消費者団体、ロータリークラブ、商工会(新入社員)、警察学校、
高齢者など、さまざまな属性に対する講座や研修会を多数実施。
また、2014年に静岡新聞夕刊コラム『窓辺』、2011年に家庭教育
情報誌ファミリスの連載を担当。
※みんなのセキュリティコラムの著作権について
みんなのセキュリティコラムに掲載の記事(以下、コラム)の著
作権は執筆者に帰属し、法律によって保護されています。
コラムの一部または全部を著作権法が定める範囲を超えて複製・
転載することを禁じます。